授業形態:講義・実技
書写基礎
(専門必修科目)
書字過程の理解とその体現のための学習活動
使用機器
実物投影機(2台)
パソコン(2台)
接続方法
実物投影機とパソコンをUSBケーブルで接続(2セット)。
「筆軸を真っ直ぐにすること」「大筆の要は「腰」であること」との毛筆書写の2つの要件を2台の実物投影機で同時に投影する。
本試行によって、2台の実物投影機、すなわち、授業者の運筆を上方から撮影することで筆軸の傾きが確認できる実物投影機と、授業者の運筆を左側から撮影することで大筆の「腰」の動きが確認できる実物投影機の双方を使用し、2つの要件を2方向から同時に投影することによって、「筆軸が真っ直ぐであれば、筆の穂先にまで等圧に筆圧がかかるので、穂先が効いて、はねや払いが書ける」ことへの理解が、実物投影機を使用しない、もしくは実物投影機を1台だけを使用した学習と比べてどのように深化するかを検証する。
(注意点:2方向からの各画面に、各要件が確認しやすいよう投影する。)
通常の授業は1台の実物投影機で学習を展開するため、筆軸が真っ直ぐであることを上方向からの実物投影機で投影した後、追って大筆の要は「腰」であることを時間差で示す必要があった。
●2画面の同時投影によって、学生の視点の焦点化が妨げられないよう、また、学習のポイントが指導できるよう工夫した。
●実物投影機を2台用い、上方向と横方向の2方向から同時投影することで、毛筆書写学習の運筆に関する理解が深められた。
真上から見た際には、文字を書く時の筆先の方向や書き方の流れなどがよく見えてわかりやすいと感じます。また、筆の軸がまっすぐで垂直になっていることも良くわかり、先生が説明されていた筆の持ち方や軸の向きというものが視覚的にわかりやすいと感じました。横方向からのカメラでは、特に筆の上下の動きがとてもわかりやすいと感じます。筆のクッションを使うという表現や、筆圧のかけ方というのが見えて、説明だけよりも実際に見えた方がより理解しやすいと感じました。上から見たときは紙の上での文字のバランスや筆運びの動きなど全体が見られて、横から見たときには一画一画の筆の使い方など細かいところがわかるので、実物投影機が2台あるととてもわかりやすいです。
(当該授業受講生アンケート回答より)
初等中等教育の書写指導ではこれまでも実物投影機の活用がされてきました。
大学の講義の指導場面でも実物投影機を活用し続けてきましたが、「横からも映すことができれば、筆の使い方がさらに伝わるのではないか」と感じてきたことで実物投影機2台の活用方法が生まれました。多面的に見せることの効果を示した実践です。